第31回 EM技術による居住環境改善



 前回は宮崎県で発生した口蹄疫対策のボランティア協力の際に感じた危機管理のあり方について、EM技術の応用例を具体的に述べたが、最終的には、「生命の安全と健康」に収斂されると言っても過言でない。


 医療費の増大は、国家の危機と言われ続けて久しく、国はもとより、関係者の努力を上回っている現状は、すでに構造化しており、生活習慣病や性格習慣病など、明らかに本人に原因がある場合は健康保険を2〜3倍にする仕組みを考える必要がある。また過剰な投薬で薬剤依存症となり、それが原因で様々な医原病が発生し、自殺率を高め、治療困難な病気を発生させた場合は、それにかかわった医師やメーカーの責任を厳しく問う必要がある。すなわち健康や薬に対し、禁煙運動なみの活動を常識化すべきである。病気の大半は個人の健康管理義務を怠った反社会的行為であるという新常識を確立せねばならない。


 同時に、食品添加物や農薬や化学肥料等はもとより、氾濫する化学物質の規制と、厳しい罰則も課すべきである。有機農業を中心として、予防医学に徹しているキューバの医療革命は、世界の注目を集めているが、その成果は、旧ソ連からの大量の医薬品や化学肥料と農薬の援助が途絶えたためである。そのキューバも、国策としてEM技術を導入し始めており、近い将来、社会主義型のEM活用モデル国家として、資本主義の構造的矛盾を炙り出してくれることを期待している。


 とはいえ、すでに、一般的に使用されている化学物質は2百万種以上、年々5万種ともいわれる化学合成物質は、巷に溢れ、法的にも、その活用が認められ、関連産業が生業的となっている。したがって、この構造を変えるのは容易ではない。残された選択肢は、化学物質の有害性を無くする技術の徹底と有害な化学物質の代替品への転換である。


 これまで、主に、食を中心に健康との関連について述べたが、衣服や住居も化学物質まみれであることは改めて述べるまでもない。化学物質過敏症、シックハウス症候群、アトピー、花粉症、アレルギー、自己免疫疾患等々、西洋医学を中心とする治療法では、根本的な解決が困難な病気は、増える一方である。いずれも、医薬品や化学物質による免疫系の混乱によるものといえるが、EMは各種の波動測定や臨床的な結果から、免疫のレベルを明らかに高めることが確認されている。


 事の発端は、EM栽培の野菜や米を食するようになったらアトピーが著しく改善された、お風呂や洗濯や掃除、野菜や食器洗い等々のEM生活を始めたら、喘息や各種のアレルギーが軽くなった、不眠症も良くなり、病気知らずになった現象等々である。この情報が元となり、化学物質過敏症の人々から、シックハウス対策について相談が持ち込まれた事で、居住環境の改善に対するEM技術の応用が始まったのである。


 先ずはホルムアルデヒド、クレゾール、ベンゼン、シンナー類等々、建材に使用される化学物質に対し、EM1号やEMXゴールドを1000倍、EMセラミックスパウダーを1000倍くらいに混和したものをくり返し噴霧した。反応がひどく出る箇所は、更にていねいに、くり返し処理すると最終的には、全く反応しなくなるようになる。このレベルに達すれば喘息や不眠症も自然に治り、住んでいるだけで健康になるという健康ハウスの実現が可能となる。


 もちろん、健康には、栄養やストレス、その他、諸々の代謝機能のバランス対策も重要であるが、体内に発生するフリーラジカル(活性酸素)対策は、特に重要である。化学物質の大半のものは強烈なフリーラジカルを誘発する力をもっている。その上、免疫応答に混乱を引き起こす性質もあり、アトピーをはじめとする各種のアレルギーや自己免疫疾患や化学物質過敏症や花粉症等々とも結びついている。


 本シリーズ第25回の「EM技術の立脚点」で述べたように、EMには極めて強い抗酸化力がある。同時に、イオン化し活性化した重金属や化学物質の電気的性質を消去し、無害化するという強い非イオン化作用も併せ持っている。EMの場合、抗酸化作用と非イオン作用は、相乗的また、は補完的に働くため、極めて速効的で安定的なものである。したがって、効果の発現は量的な面と反応時間によって決まるため、効果が明確でない場合は、量が足りないか、反応する時間が十分でなかったという単純な理由によるもので、再処理を繰り返せば済む話である。


 このような経過を踏まえ、EMの建築部門への応用がより確かなものとなり、EM技術で改築したり新築した家に住むようになった人々に疫学的な、アンケート調査を行なったことがある。現在、EM技術を応用した新築は1000件を悠に超えており、改築や改装は無数にあるが、共通して言えることは、よく眠れるようになった、カゼをひかなくなった、カゼをひいても軽微で仕事を休むことがなくなった。病院に行く回数が極端に少なくなった、腰、頭、神経の痛みが消失した、花粉症が出なくなった等々である。


 それらの結果のダイジェストは、「健康になる家、癒す家」(EMXセラミックス建材の医療的効果を実証、いのちと「衣・食・住」のヒント集)として三五館から出版された。著者は、EM医学のエキスパートである小澤医院の医院長である小澤博樹氏である。EM医学については、改めて述べる予定であるが、建築を担当し、様々なEM建材を取り扱っている愛知県の一宮市にある三昭堂によると、EM住宅の節電(省エネ)効果は30〜35%で、夏は涼しく、冬は暖かいという余得もあり、クレームは全く無いとの事である。


 「住宅産業はクレームがつきもので、どんなに上手に対応してもクレームが出てくる産業として覚悟をしながら仕事を続けてきたが、EM住宅を手がけるようになって、クレームどころか皆様に満足し喜んでもらい心から感謝されるようになった。まさに住宅産業の冥利に尽きる。」とは三昭堂の菱川社長の言葉である。


 今では、EM資材を活用した内装等は、抗酸化工法として広く知られるようになったが、メーカーによって、EMの信頼を落としてしまうような事例が発生したため、EM研究機構で、より高機能で安定的な資材を開発し、数年前にJIS認定も取得し、希望する工務店や建築関係者の指導に当たっている。


 既存の住宅や構造物は、すでに述べたように、自前で健康ハウスにすることも容易であり、コストも無視できるレベルのものである。本格的なEM住宅に取り組む場合は、基礎のコンクリートにEMセラミックスを0.1%良質のEM活性液の上澄液を水の5〜10%程度加えるとコンクリートは300年以上の耐久性があり、耐震性も極めて強いものとなる。耐震性については機会を改めることにするが、使用する材木や内装資材にも、EMセラミックス0.1〜1%とEM活性液を5〜10倍にしたものを塗布し、含浸させ、乾燥させると蘇生的な波動が高まり、材料の劣化防止にも著しい効果がある。


 更に、欲を言えば、床下に1u当たり100gのEMセラミックスを散布し、床下部分の木材にEMセラミックス1〜3%とEM活性液の原液を混和したものをペンキ状に塗布することである。このような処理をすれば、シロアリをはじめ、木材を劣化させる小動物や微生物の作用を完全に除去することも可能であり、建物そのものは、大地のエネルギーを受け、年々強くなってくという現象が現れてくる。当然のことながら住宅の耐用年数は数倍も長くなり、木造でも200年住宅は常識となり、コンクリートは500〜1000年以上になることも期待されている。


 理想を言えば、EMセラミックスと混和した光合成細菌(EM3号)を強化したEM活性液を木材に注入し、再乾燥させると10〜15年の間伐材でも完全に酸化防止が可能なため、千年杉なみの耐久性を持つようになる。当然のことながら、内外の塗料にもEMセラミックスパウダーを1〜3%、光合成細菌を強化したEM活性液を1〜3%水性ペンキと混和し全面的に塗布すると断熱効果は著しく、同時に、その面に接触する空気も清浄化されるという余得もある。


 化学物質過敏症の人々や免疫系が乱れている人は、電磁波に過敏である。この場合は室内の配線にEMセラミックスパウダーを1〜3%混和した水性ペンキでコーティングすると電磁波の影響を著しく軽減し、同時に30〜35%以上の節電効果が得られている。


 このような工夫が出来ない場合は、厚手のプラスチック袋にEMセラミックスパウダーを50〜100g程度入れ、ブレーカーのすき間に数個置くだけでもかなり効果的である。可能であれば、冷蔵庫の中や外、テレビやクーラーに室内、室外機にも張り付けるようにセットすると万全である。


 当初は、このようなことは絶対に信じられないという、ある電機部材メーカーの専門家から強いクレームがあったため、当人の自宅でテストを行なったことがある。何と前年度の電気料金よりも40%以上も節電でき、本人の話では工夫次第では60パーセントの節電も可能ということであった。余談ながら、太陽電池パネルの四隅にEMセラミックスを張り付けただけで10%内外の効率アップという話もあり、パネルにEMセラミックスやEMXゴールドをコーティング資材に混ぜて全面的にコーティングした場合に30%以上もの効率が高まったという報告もある。信用するか否かは別として、実験すれば、すぐに確認できるものである。


 これまで述べたことは、主として病気にならないため、または積極的に健康になるための居住環境改善であるが、省エネや環境という観点からとらえると、膨大な利得に結びつくものである。全家庭が30%内外の省エネ、病人が半減し、建築物の寿命が数倍以上になることを考えると、CO2問題等は自動車の省エネ技術と連動すれば、たやすく解決できることになる。



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