第6回 日本産米、レストラン、そして宇宙かぼちゃ〜!
日本産米:「有了口福、才有幸福・・・」(中国語)
7月26日午前、日本農林水産大臣の赤城氏と、中国商務省対外貿易発展事務局長の馮氏がそれぞれ北京のイトーヨーカドーと太平洋スーパーを訪れ、「日本米発売式典」でテープカットと除幕式を行った。これは輸入が再開された日本産米が正式に北京の市場に登場したことを意味する重要な行事の一つとして、日中双方のテレビや新聞で報じられた。
実は7月上旬、36℃の高温、いうまでもなく蒸し暑い中、日に直射されながらも筆者は少し上海市内の街路を歩いた。すると、「日本産米」の旗とその旗に書かれたアピールメッセージが目に留まり、すぐメモした。中国語は「有了口福、才有幸福;日本進口、優中之優;為?家庭、錦上添花」というが、お読みになって、なんとなく少しはお分かりになるのであろうか。
それを日本語に仮訳すると、「美味しさに直感してはじめて幸せを実感し、日本からの最もよい日本米の輸入品である。ご家庭のために、きっと美しさの上にさらに美しさを添えるようなことになるであろう」と筆者流にいう。値段は中国産の20倍になっても、東陶製の高級トイレや秋田北部産のスギなどを求める中国富裕層を考えると、確かな買手が存在するのは間違いない。
そこで、日本産米は結構美味しいよ、と中国の方々に「口福」を実感してもらえればと同時に、中国の福建米に起源されるであろうともいわれる日本米はなぜいまここまで美味しくなってきたか、日本食における日本米の位置づけはどのようなものか、病虫害や風水害、さらに異常低温などに勝って、改良に改良を重ねた日本での稲作の歴史についても輸出先に伝えられないだろうか。
レストラン:「海上」から「透明思考」まで多彩・・・
7月30日、「北京晨報」が次のように報道した。「このほどオープンした中国国内初の「ストレス解消レストラン」では陶器を含むすべての食器からスピーカーなどの全備品に至るまで、思いのままに破壊することができる。これは楽港グループが打ち出した変わり種レストランである。」人気なお店になるかは不明であるが、そのようなレストランは増えなくなればよいと思うね。
ところで、去る20日、海域面積3万8千平方メートルを超える中国最大の海上レストランが浙江省の舟山市で正式にオープンした。レストランの外観デザインは、上から見下ろすとカニの形をしており、全体の装飾は舟山市の漁業と地元の文化を前面に出したものだという。レストランでは新鮮な海鮮類数百種が堪能できると同時に、海上を一望しながら食文化を楽しめるという。
近年、筆者は日本国内の業務に従事するとともに日中関連の業務にも携わり続けており、北京、上海、深センは勿論、ハルピン、吉林、大連、済南、南京、杭州、広州、南昌、武漢、重慶、西安、ウルムチなどにも足を運んだ。どこに行っても、夜9時以後になっても、多様なレストランで食事を楽しむ人がまだ多くいるという、10数年前では想像もつかない風景に少々驚いた。
自ら選んだタックを焼いて貰うレストラン、何かのショーを鑑賞しながら食事するレストラン、古風健在で史的な味を体感できるレストラン、洋風も和風も一堂するレストラン・・・、実に各地多様であり、多彩である。上海「新天地」をご存知の方も居られるかと思うが、筆者も数度行き、ガラス作品展示館も設置される「透明思考」高級レストランでお食事をされたことはなかろうか。
宇宙かぼちゃ:日中間の差を映す一面も
肥料をやるのは1日1回、早いときは1日10キロも増えて、熟成後は一般500キロ〜600キロになり、最高記録は980キロにもなった宇宙かぼちゃ。500キロ〜600キロの売値は普通のかぼちゃの5000個も買える1個1万元(約17万円?)前後。遼寧省某現代農業開発会社社長の王氏は「毎日24時間看守で、どんどん大きくなってくるよ」と喜ぶ。
ところで、地上で成長しているのになぜ宇宙かぼちゃというのか。実はこのかぼちゃの品種は普通とは違って、中国初の有人宇宙飛行船「神舟5号」が「宇宙で育種」したからである。無重量の宇宙では熱対流が消えるので、超高品質の合金も製造可能と言われるだけでなく、タンパク質もきれいに結晶するなど、寒冷や病虫害に抗する力が強く、農薬を使う必要性もなくなる、という。
「・・・日中の宇宙開発はほぼ同時期に始まっている。1970年2月に日本の『おおすみ』、4月に中国の『東方紅』が、それぞれ初の人工衛星として打ち上げられた。その後、中国はソ連寄り、日本は米国寄りと、日中の宇宙技術は別の路線で進んできた。これまではほぼ互角の競争力。そこに今、思いがけない差が開きつつある。」(産経新聞「宇宙野菜が示す中国との差」7月7日)。
ある意味では、宇宙開発の歴史に見られるようなイノベーションの激動な連続は少ないであろう。日本は宇宙での高度先端技術を追求し続けているが、中国は日常生活と宇宙産業の距離を短縮させようと取り組んでいる。多様な制約条件にも差は存在するが、日中間の差は技術的ものだけでなく、何をどこへ目指すべきかという「志向」に差があったとはいえないのだろうか。
<了>
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