第22回 写真で見る北京のいま!


 12月中旬に訪れた北京は、日中の最高気温が零下6℃、夜間の最低気温が零下12℃という実に寒冷な日もあった。しかし、訪問先で受けた暖かい歓迎や活発な意見交換などにはいつものように熱気が溢れていた・・・。なぜ今北京を訪れたのか、どこを訪問し、何をしていたのか、その一部については後日皆さんに紹介したいと考えている。本日は数枚の写真を通して、多様な意味での「中国のイノベーション」の一角を現すといってもよい「北京のいま」を見て頂きたい。


写真:天安門付近に立てられた「国家大劇場」の一角

 昨年のいま頃、12月22日にオープンされた芸術の殿堂「国家大劇院」。まるで別の星から突如北京に降り立ったかのような近未来的な姿は悠久な歴史が色濃く漂う長安街においてまさに異色の存在とも言われる。客席2416席の歌劇ホールと、2017席の音楽ホール、1040席の演劇ホールの3つからなり、中国最大のドーム型の建物にも関わらず、内部には1本の柱もない。中からその天井を見上げてみるとあまりに美しい曲線に目が惹きつけられる。


写真:北京〜天津、昔は2時間だが今は30分

 「京津高速線」(北京―天津間で運転される新幹線)の端は北京南駅である。同駅は2008年8月1日に北京オリンビックの開会に合わせて改装開業したもので、将来的には北京と上海を結ぶ高速鉄道網のターミナル駅ともなる。屋根上にソーラー電池を設置し、年間10万キロワット規模の太陽光発電を行っており、駅構内は明るくしかも省エネルギーを図っている。「和諧号(Hexiehao)」と名付けられた、時速335キロメートルの速さの車両に乗った感覚は、日本の新幹線に似ている。


写真:北京、鳥の巣、青空とともに

 北京オリンピックの時期、美しい青空が話題に上り、人々の高い関心を呼んだのは記憶に新しい。その後はどうなっているのか、筆者も強い関心を持っていた。北京オリンピック閉幕の4ヶ月後となる12月、現地で滞在していた数日間の間、筆者も機会があるたびに空を見上げていたが、やはり以前訪れた際より青空を見ることができた印象を受け、確かに嬉しい気持ちがある。空気中の二酸化硫黄や浮遊粒子状物質などの濃度による「大気汚染指数」がどの状態かは分らないが、いまなお毎週月曜日から金曜日までクルマの車両番号による一部走行規制が継続されていることから、北京市の努力の姿が見えてくる。


写真:オリンピック公園にて、朝野浩行氏の作品:Wall at Time

 北京オリンピック公園の面積は約1215ヘクタール、敷地内には760ヘクタールにわたる緑地があり、中華民族博物館、エクシビションホール、競技スタジアム、オリンピック選手村も整備されている。いまなお建設中の部分もあるが、競技スタジアム等への観光客は後を絶たないという。公園の一角で朝野浩行氏の作品「Wall at Time(時間の壁)」に接し思わずシャッターを押した。同氏は花崗岩で造形した3枚の璧で囲む「時空の間」という作品を含め、ご活躍されている東京学芸大学準教授である。


写真:北京「王府井」通りが演出しているクリスマス

 王府井は「北京の銀座」、「北京のシャンゼリゼ通り」などとも呼ばれる北京のシンボル的な繁華街であり、昨年9月15日に開催された「日中のお祭りin北京」の開催地でもある。日中両国から約800人が出演し、日中合わせて20演目余りが披露され、会場には約10万人の観客が詰めかけ、迫力あふれる演技に魅了されたこの王府井通りも、いまはクリスマスのムードを熱演している。ちなみに、12月14日、王府井通りにある新東安広場1階のホールには中国初だという「新東安クリスマス臨時郵便局」がオープンされ、買い物客のために郵送サービスを行っている。王府井の熱気は全国各地へ届くと祈る。

 さて、今年の最終回、簡単ではあるが、如何であろうか。

 本当にあっと言う間にまた1年が過ぎようとしているところであるが、ここでまず出口氏のDND300号を心よりお祝いを申し上げるとともに、お世話になっている出口氏をはじめ、読者の方々に対しても深く感謝のお礼を申し上げたい。金融危機の余波はなかなか静まらないようであるが、「新しい年」は必ず来ると信じて、既定の目標に取り組み続けていきたい。皆さん、ぜひよいお年をお過ごし下さい!



来年、再見!

<了>





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