第15回 米国、ドイツ、日本を次ぐ中国国際光電子博覧会
日中の関連報道によると、昨日午後、中国の胡錦濤国家主席が専用機で羽田空港に着いて、21発の礼砲や、高村外務大臣を始めとする日本政府関係者のほか、中国駐日本大使崔氏、在日華人また留学生代表らの歓迎を受けた。5月7日の日中首脳会談は世界の注目を集める舞台となることも言われるが、日中間では複数の課題が存在している今日、中国の国家トップがついに10年ぶりに日本に来られたことを、筆者も素直に嬉しい。
胡錦濤主席の訪日については後日改めて私見を述べる機会を得たいと考えているが、今回は簡単ながら、去る4月25日から28日まで、中国では「光産業の発祥地」と称される湖北省武漢市にて開催された「 第6回中国光谷・国際光電子博覧会 」の一角(略称「光博会」)についてお伝えしたい。
例年では爽やかな11月上旬に開催されてきた中国国際光電子博覧会だったが、今回は「第3回中国中部投資貿易博覧会」が4月下旬に武漢にて開催されることに合わせて4月下旬の開催となった。実は同時同地に、左記した二つの大型博覧会のほか、第3回「国際アニメ&コミック産業EXPO&TRADEフェア」や、第4回華中観光博覧会も開催されたことで、出展関係者はもちろん、一時中央要人や国際来賓などが「中部大集合」となった。
4月25日午前、中国国際光電子博覧会の共催機関を代表する中国科学技術省副大臣李氏、中国工業及び情報化省副大臣苗氏、中国教育省副大臣章氏、国家知的財産局副局長?氏、中国科学院副院長施氏、中国工程院副院長?氏、全国人民代表大会常務委員会委員辜氏は、ロシア、アメリカ、カナダ、フランス、イタリア、日本など30近くの国や地域からの貴賓代表とともに開幕式の壇上に立ち、2000名余りの出展関係者や各界来賓の前で開幕を宣言した。
社団法人日本電子回路工業会(JPCA)事務局長栗原氏は前夜の歓迎レセプションに続き、日本からの貴賓代表として開幕の壇上に招かれて参列された。
開幕式の後、日本からの光博覧会訪問団は中国における光通信分野の三大コア技術(光通信システム、光ファイバ・ケーブル、光デバイス)の全てを有する中国国内唯一の国有ハイテク企業グループ〜武漢郵電科学研究院・烽火科技集団を見学した。同グループは上記三大コア技術分野のいずれでも中国市場でベスト3以内に位置しており、とくにデバイス分野では中国市場シェアのトップ、世界6大ベンダに数えられるなど、世界市場でも従来から存在感を発揮している。また同グループのフジクラやNECとの合弁事業が話題になっていたことはいまでも記憶に新しい。
あっ、一瞬まさか!と思った。見学している最中、あることで思わず興奮しそうになった。日本では「光通信の父」と称される西澤潤一氏は、光通信の三大要素の発明や半導体素子の研究で世界的に知られているが、氏の研究人生は信念を貫くための闘いの連続であったということから多くの方々に尊敬されていることはいうまでもない。これに対し、中国では「光ファイバーの父」と称される趙梓森氏が居られ、ある意味で西沢氏と共通するとも思われる研究人生は多くの方々に感動を与えているが、お目にかかる機会があまりない。
このことはこの連載の「 第3回 武漢が開く!中国における光産業の未来 」でも触れたが、しかし、そのとき、趙氏は見学しているわれわれのすぐ隣にいらっしゃった。同氏の奥深いというかやさしい笑顔に吸引されただけではないと思うが、皆さんは臨機応変に同じく次のような行動をとった。名刺交換、瞬間歓談、記念写真・・・。いや〜、よかったね(笑)!
25日午後2時、日中テクノビジネスフォーラム(JCTBF)と中国武漢東湖国家ハイテク産業開発ゾーンとの共催により、「特別セミナー 日本ハイテクの応用 in OVCEXPO 2008」が開かれ、現地の大学や研究機関の教育者や研究者、関連企業の経営者や技術者、新聞記者及び院生等100名余りの方々が特別セミナーの会場を埋め尽くした。
筆者は司会を務めさせて頂く役割だったが、中国武漢東湖国家ハイテク産業開発ゾーン管理委員会副委員長孫氏、日本電子回路工業会(JPCA)事務局長栗原氏の開会挨拶の後、NTT中国代表事務所副所長村川氏、NTT−AT担当部長・フェロー村田氏、JST産学合作事業本部地方事業推進部主任佐藤氏、JPCA光電子回路実装標準化委員会幹事高原氏が順次、「NTTにおける光戦略」、「接着技術の最新動向や応用事例」、「地域のイノベーションと光産業」及び「電子機器の光化、標準化及び日中協力」を題する講演をされた。会場からは講演者の方々に質問を続いていたが、時間の制約で、中国印刷電路行業協会(CPCA)副理事長李氏の閉会挨拶をもってセミナーが終了となった。
中国国際光電子博覧会や特別セミナーの一部詳細については専門サイト「 中国ハイテク産業の窓 」で紹介されるので、ご関心の方はアクセスしてみて頂ければと付記するが、当日回収した参加者アンケートに書かれた数々の感謝言葉や多様な期待などを読むと、思わず企画検討から開催運営までの色々な予定外のことに取組む日夜を思い出してしまい、胸が熱くなってきた・・・。ここで記すべきではないかもしれないが、日中共催特別セミナーの後援団体や講演された方々、そしてセミナー会場に来られた方々に対し、心よりもう一度お礼を申し上げたい。
日中共催特別セミナーの閉会は1件の業務が終了したということを意味するのではなく、日中間の新たな交流、提携もしくは協力関係の構築がまたもスタートになったと言ってもよかろう。
ちなみに、前述した第3回中国中部投資貿易博覧会も28日、武漢市で閉幕した。報道によると、今回の中部博覧会では、外国企業による直接投資プロジェクト673件が調印され、契約総額は161億6900万ドルに上った。「中部6省の投資環境は迅速な改善が実現された」と日本駐中国大使宮本氏が言われるように、これは中国「中部勃興戦略」によって、武漢を核心都市とする中部6省が国際社会から幅広く注目されるようになった、ということを物語っていると言えよう。
<了>
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