特別寄稿 サービスイノベーションと技術経営のリーダー、亀岡秋男先生の急逝を悼む



 大学法人北陸先端科学技術大学院大学(JAIST) 亀岡秋男教授が7月18日、ご逝去されました。あまりに突然の訃報に、関係者は皆驚きと悲しみに沈んでいるところです。謹んでお悔やみ申し上げます。

 亀岡先生は、東芝の技術企画畑で東芝の技術経営の中核として活躍され、その後JAIST教授に転出されてからは、同学の副学長をお勤めになるとともに、MOTコースを設立し、経済産業省、文部科学省や研究技術計画学会、科学技術と経済の会など多くの機関の活動に寄与しました。また、MOTの国際学会であるPICMETで活躍されるとともに、自ら立ち上げたGATIC-JAPANの中心人物として、世界的視点で技術経営の研究と普及を通じて貢献されてこられました。さらに、技術戦略マップの専門家として、経済産業省の産業構造審議会研究開発小委員会臨時委員に就任され、技術戦略マップの作成に貢献されるとともに、その新たな活用方法の一環としてたちあげたNEDOの「異分野融合領域における研究促進のための検討会」において、異分野間の技術の融合のための議論のコーディネーターとして、検討会自身の進行、とりまとめにおいて中心的役割を担っていただきました。また、JAIST 大学院MOTコースには、NEDOの職員3名を受け入れていただき、高度な技術経営の指導をしていただきました。さらに、NEDOの技術経営・イノベーション戦略推進チーム主催の研究会の最初の講師として、サービス・製品・技術の融合を図る、新たなロードマップのあり方についてのご指導をいただきました。

 亀岡先生との思い出の中で特に印象深いのは、サービスサイエンス・イノベーションに関することです。私がサービス産業課に転出してからほどなく、先生におつれいただいたケロッグスクールのラドナー教授に、米国の最近の潮流として「サービスサイエンス」のお話を伺いました。大学連携推進課でMOTに関わっていた私にとって、サービスの世界でもサイエンスベースの研究が行われ、いかにイノベーションを起こしていくかの検討がされていることを恥ずかしながらはじめて知りました。これを契機に経済産業省でもサービスイノベーション研究会を立ち上げ、事務局の一角に日本IBMとともにJAISTに参加してもらい、亀岡先生と一緒にその検討を始めました。この検討結果は、IBMが主催したSSMEのシンポジウムでも発表しましたが、すでにNEDOに移っていた私に代わり、亀岡先生のJAISTグループに発表をお願いすることになります。

 この間、JAISTでは、MOTコースの中にサービスイノベーション講座を立ち上げました。これをコースにまで育てたいと亀岡先生は目を輝かせながら語られていたことを昨日のように思い出します。

 イノベーションをめぐる様々な活動の中で、重要な指導力を発揮されてきた亀岡先生。その急逝は関係者にも大きなショックを与えています。しかし、亀岡先生が常日頃お話していたように、ナショナル・イノベーション・システムの確立にはまだまだ課題がたくさんあります。我々は、前を向き、先生のご遺志を継いで、イノベーションの実現にまい進することを誓いたいと思います。

 最後に、GATICの創始者の一人であり、亀岡先生の同志でもあるETHのチェルキー教授の追悼文を添付させていただきます。

In Memory of Prof Akio Kameoka pdf

合掌