第10回 「イノベーティブな人材の育成」その2【NEDOカレッジ】



 イノベーション戦略を考える上で、MOTまたは技術経営は重要な概念です。イノベーションとマネジメントは表裏一体の関係にあるともいえます。こうした考えに基づき、平成19年度から、いよいよお茶の水女子大で研究開発マネジメントに関するNEDOカレッジが始まります。

 お茶の水女子大学ライフワールド・ウォッチングセンター(増田優センター長)では、平成16年度から、社会人向け公開講座として、「化学・生物総合管理の再教育講座」を開講しています。標題を超越して、同講座は年を追う毎に発展・深化し、現在では化学・生物の総合評価管理に加え、「社会技術革新学群」「技術リスク学群」「コミュニケーション学群」の全部で5つの学群からなる全29科目からなる講座を提供しています。これは、ある程度の大学院にも相当する規模といえます。同講座の中には、国立感染症研究所、物質材料研究機構をはじめとする国研や高分子学会、日本生理学会などの学会、さらには、内閣府男女共同参画局などの政府機関も連携機関として参加する、多様かつハイレベルの講座が並んでいます。

 今回、NEDOとしては、そのナショナルイノベーションシステムにおける自らの使命に鑑み、この公開講座に一科目を提供させていただくことになりました。内容は「ナショナルイノベーションシステムにおける研究開発マネジメント論(前後期)」で、通称NEDOカレッジと我々内部では呼んでいます。→ NEDOカレッジの詳細はこちら

お茶の水女子大学のwebサイトには、同講座を以下のように紹介しています。

技術革新は社会と生活の変革をもたらしてきました。そして、技術革新は技術の開発とリスクの管理が車の両輪となって進展しています。
 このたび開講する「化学・生物総合管理の再教育講座」は、現代社会をよりよく理解する教養を涵養することを目指して、化学物質や生物によるリスクの評価・管理、そして技術革新及びその社会・生活とのかかわりなどについて、自己研鑽をつむ機会を提供することを目的にしています。
 カリキュラムは、化学物質総合評価管理学群、生物総合評価管理学群、社会技術革新学群、技術リスク学群、およびコミュニケーション学群からなり、全体で、54科目で構成されています。このうち27科目を前期に、27科目を後期に開講いたします。1科目は90分授業15回から構成されます。(橋本注:現在29科目に増強)
 化学物質総合評価管理学群と生物総合評価管理学群においては、科学的方法論に基づくリスク評価とともに、国際的枠組みや国内法体系、そして企業における管理等を中心に化学物質や生物に係わるリスクの評価・管理について解説します。社会技術革新学群、技術リスク学群においては、技術革新が社会や生活と相互作用しながら展開してきた過程を解説します。コミュニケーション学群においては、科学や技術に係わる現代社会におけるコミュニケーションを様々な角度から議論していきます。→ 科目ごとの内容はこちら
 なお、各学群内には、基礎、中級、上級の3つの水準の科目を設けています。基礎は大学学部相当、中級および上級は大学院相当のレベルを目安としています。→ 各水準別の科目はこちら
 19年度のNEDOカレッジは、私が一応の代表者を務めていますが、各講義はNEDOの選りすぐりの職員が担当します。研究開発マネジメント論からはじまり、ロードマップ論、研究評価論、知財戦略論、公的資金の資源配分論、バイオ、IT、ロボット、エネルギー、環境などNEDOの重点分野の技術開発マネジメントの実際などを、その分野の専門家が解説します、さらには、NEDOの誇る米国、欧州、中国駐在の産業技術アタッシェによる3極のイノベーション戦略の分析など、他では得られない情報分析が盛り込まれています。  日時は、平成19年4月12日から毎週木曜日夜6時半〜8時です。場所は、お茶の水女子大学(東京都文京区大塚)です。聴講には事前の登録が必要です。皆様のご参加をお待ちします。→ 登録はこちら