ニューデリー、インド厚生大臣の国際諮問会議へ



 前回はGates財団、Dr Tachi Yamada等との話を報告しましたが、翌5日からNew Delhiへ飛びました。3月のコラムでお伝えした Jeffrey Sachs教授達 と、8月6、7日の2日間はインドの厚生大臣の国際諮問会議の一員としての訪問で、農村部の保健医療行政Rural Healthに関するヒアリング、それに意見交換が主な目的です。

 プログラムの内容とパネル参加者のメンバーは、MV ProjectのサイトのAgenda and Meeting Presentationsの通りですが、私の事務所の「坂野(ばんの)」くん(写真1)も参加しました。彼は9月からHarvardのSchool of Public HealthのMaster courseへ留学します。その直前に、世界の各分野を代表するトップの方々に会うことができた、と言って喜んでいました。ところで、Sachsさんは、The Earth Institute, Columbia University, NYC の所長です。近々、また本を出版されるそうです。がんばりますね。すごいエネルギーです。


写真1: 坂野君、Dr Roger Glass (NIH Fogerty Intl Center, NIH)、私

 諮問会議のメンバーには,かの著名なMrs Sonia Ehrlich Sachs(写真2)、彼女はカラム(2006/03/13 「Millennium Development Goals (MDG) in Stockholm」)で以前紹介した、Nobel医学生理学賞のPaul Ehrlichのひ孫で、Ehrlichの弟子は秦佐八郎で感染症(スピロヘータ)に有効な初めての化合物salvarsanを発見したことで知られています。


写真2: Dr Sonia Erhlich Sachs, Joanna Rubinstein (NY Academy of Science, Ellis Rubinsteinの奥さんでJ SachsのChief of Staff)、そして私

 去年のDCPP, 2nd editionカラム 2006/04/02「世界の健康政策」)をDean Jamisonとともにまとめ、その発表のときに北京でお会いしたJaime Sepulveda(写真3)、前厚生大臣のJulio FrenkとともにMexicoの医療政策のブレインですが御両人にも久しぶりに会いました(カラム 2006/06/30「ナイロビから 〜立派なリーダーを知ること」で紹介)。彼は8月からGates財団に移るそうです。また、つい最近、この2000年の沖縄サミットで日本の提案で設立されたGlobal Fundの理事長に選出された元McKinseyのRajat Guptaさんに会えたのもよかったです。


写真3: 左から、Drs Glass, J Rubinstein, J Sachs, J Sepulveda、(?)、そして私

 しかし、貧困で電気もろくにない困難を乗り越えようと、よくがんばっていますね。また、私と一緒にWHOのCommissioner をしているMirai Chatterjeeさんたちが考えたようですが、ASHA(上のサイトにプレゼンのスライドもあります)という貧しい村での女性の活躍するプログラムはずいぶん効果があるようです。

 翌日は朝から5時間ほど、厚生大臣Dr Ramadossとの議論でしたが、細部までよくご存知でたいしたものです(写真4、5)。それもそのはず、医師ですが、もともと農村の保健衛生がテーマで、よく通じており、若干37歳で厚生大臣に、今3年目です。経済成長も見込めて予算も増えていくでしょうから、課題は山積みですが、時間はかかってもいい方向で動いていくでしょう。

 ところで、インドでは32のうち8つの州(もっと広い範囲らしいですが…)では、水のフッ素含量が多くて中毒が数百万人とも言われています。また3つの州では水からの砒素中毒が多いということで、これも悲惨です。砒素といえば、Bangladeshの中毒がよく知られていますが、同じ原因ですね。

9日の夜の便でシンガポールへ出発しました。


写真4: 左から、私、R Gupta、(?)、厚生大臣


写真5: Columbia大学Earth InstituteのN Bajpai、私、J Sachs