天城学長会議から



 毎年、この時期に伊豆の天城で大学学長会議が開催されています。今回は担当幹事の東海大学、高野学長、東京工業大学、相沢学長のお招きで第一日の午後の基調講演に参りました。第2日、朝の基調講演はJR東海の葛西会長です。一般には私たち二人は、意見がかなり対立していると思われているかもしれませんが、面白い組み合わせと思います。しかし、実は葛西さんとは個人レベルでのお付き合いもあり、二人ともどちらかといえば「歯に衣を着せない」ほうですし、歴史観も、哲学も明晰で(とにかく沢山の本を読んでおられる)、気骨のある方として意気投合しています。ですから、葛西さんたちの音頭とりで始まった「海陽学園」という6年一貫、全寮制の男子校の応援もしているのです。人材育成は国家の根幹ですからね。

 しかし、この学長会議の最近5,6年の議事録、基調講演などを見てみると、問題点の認識と、課題はすべて議論されつくしていると思いました。最近の大学の状況、社会の変容、グローバル時代の世界の大学をめぐる大きな流れの変わり様、具体的な動きなどについてお話しましたが、私の主張はこのサイトを見ていただいている方にはおなじみのことと思います。

 問題は、それぞれが学長という立場の一つ一つの大学の長がどんな決断をして、それを実行するかにかかっているのです、と申し上げました。皆さん問題は十分に分かっておられるのですから、どのようにして自分の信念を実現していくかにかかっていると思います。もちろん、難しいことはいくつもあるのは十分に理解しています。でも、どのようにして実践し行くのか、これこそがリーダー、責任者であることですし、責任者に求められていることではないでしょうか。学長という立場は評論家でいられるはずがありません。

 学長先生にはこのことを理解したうえで、この会議が終わるまでに、一人ひとりが今年中にやることを紙に書いて、約束し、来年のこの会議でまでどこまで実行できたかを検証することをお勧めしました。そうでもしないと、いつまでたっても前進しませんからね、将来を担う若者たち、学生さんがかわいそうです。

 学長先生方、ご苦労様です。でも仕方ないですね、これがお仕事ですから。