「憂国の歴史学者、エール大でシンポ 朝河貫一再び脚光」



 週末、東京は桜が満開です。でも、天気は下り坂ということです、残念ですが。

 さて、このカラムの見出しのタイトルで、3月29日の産経新聞に出ていたと思 います。インターネット版に載っています。私のこのサイトを時に見ていただいている方には、朝河先生の名前を知っている方も多いし、また見たことがあるかも知れません。
 私のサイトの中で「search」していただければ、10程度が出てきます。例えば「朝河貫一先生のことなど」(カラム2003/04/03)です。

 この産経の記事の中見出しは「先見性、日本の針路示唆」、そして「朝河貫一の言葉 「日本は世界の信を失ふ」「米国は輿論の国」」とあります。私の意見はここでも何度も発信しているように、本当にそうだと思います。この100−150年でも、基本的思考が内向きであり、俯瞰的にモノを見て、思考することが得意でない「鎖国マインド」なのです。何回も発信しているようにね。これは、なぜかなのか?面白いテーマと思います。

 しかし、日本が世界経済でも小さな国であれば、日本だけの問題ですんでしまうかもしれないし(それも困ったものですが、、)、国際的にはあまりたいしたことにはならないのですけど、日本は世界で第2の経済大国ですし、グローバル時代に独りよがりではすまないのではないでしょうか。いまの世界情勢、急速に変化してくるアジアの情勢と日本の動向を見ていると、ちょと心配なのです。

 同じような「懸念」が感じられるからこのタイミングで、このカラムにあるタイトルのシンポジウムがYale大学で開催されたのしょうか?そうではないのです。ちょうど朝河先生がYaleの教員になって100年ということでこの3月始めに開催されたのです。「Japan and the World: Domestic Politics and How the World Looks to Japan」というテーマの会議で、日本からも皆さんがご存知の方が何人か参加されています。今の世界の状況を考えてみると、日本にとっても歴史的な約100年ということも偶然ですね。歴史はこのようなことがあるのですね。

 朝河先生は、日本人で初めて米国の大学教授になった方です。それもYaleでした。Yaleに初めて正式に入学し、卒業したのは、これも私のサイトで何度も紹介している第6代東京大学総長ですが、実は会津藩白虎隊の生き残り山川健次郎先生です。2005年、いまのYale学長のRichard Levinが日本に来たときにも、東京大学での講演でこの二人を紹介しています。

 日本の国際人50人ほどを連載している留学生向けのなかなか意味深いサイトがあります。朝河先生、山川先生はじめ、私のサイトでご紹介している方が結構おられますね。

「科学という「国境なきツール」を生かした国のビジョンを」という対談形式 で岩波の「世界」にも「生命科学と倫理」をめぐって書いていますが(「article2005/01/011」) 、ここでも朝河先生にも触れていますので、一度読んでみてください。

 歴史は繰り返す?では困ったのもですね。去年、ジュネーヴでの会議(カラム「スイスから、「World Knowledge Dialogue」、2006/09/15) のランチセッションでは、私の結論「Have we become wiser?」がセッション報告の見出しになっていました。