第5回 「鍵はやはり人財」の巻


●皆さん。

 まだ桜が咲くのは、もう少し先ですが、今回は珍しく前回の内容と同じ季節に書いています。多分今までのメールの中で始めての短期間での連載になりそうです(威張っているのでなく、自虐的なコメントですので、お忘れなく)。別にトリノ・オリンピックが荒川以外に見るものがないので、暇で書き出したわけではありませんし、真央ちゃんが2位でさびしくて書いているわけでもありません。

 実は、出口編集長から隅田川での花見のお誘いを頂き、有難いことに?ついでに原稿の催促を頂きました。ヘッダーに、「天使のつぶやき」という思わず、開かざるを得ない内容があり、つい開いたのが運の尽きでした。なぜ、あそこでジャンク・メールと思って、読まずに捨てなかったのか?これからしばらく後悔しそうです。また、何故出口さんは私がこのようなタイトルのメールを一応チェックしていることを知っていたのか?色々な疑惑がわきます。

 正直、日経BPの宮田さんからは、ついぞこのような上品な?メールを頂いたことがなく、警戒心が薄れていたことを白状せざるを得ません。また、まさかあの出口さんがこのようなヘッダーを書こうとは、申し訳ありませんが、姿からは想像ができませんでした。

 まさか某○主党の議員の方も、ヘッダーにだまされて開いたばっかりに質問せざるを得なくなったのではないでしょうが、大人の人材の重要性を感じさせる事件でした。チビッコ・ギャングに対し、大人の対応をしている自民党の先生方の評判が上がらざるを得ない一週間でした。とりわけ、とどめは武部幹事長の「罪を憎んで人を憎まず」の言葉で、水戸黄門のような最後で木戸銭を返せといいたいような劇も終わりを告げました。

 いかに人材が大事かを痛感させる騒ぎでした。政策通かもしれませんが、世の中の流れを理解する大人(おとなでなく、たいじんと読んでください)の重さを感じました。バイオベンチャーに必要な人材も大人(くどいようですが、おとなでなく、たいじんと読んでください)ではないでしょうか?ベンチャー・キャピタルからお金を集めるのもよし、事業計画をアグレッシブに行うのもよし、しかし、本当のミッションが何か?何が落とし穴か?こういう観点からブレーキになる人も経営陣に必要です。うまい話は、うさんくさい。この当たり前のことが判断できるのが重要です。

 振り返ってみれば、今回のライブドア騒動だって、うまいことにはわなが有る。この当たり前のことが理解されていれば、ここまで大きな余波はなかったのではないでしょうか?ライブドアは仲良し経営陣といわれていたそうです。方向が同じであることはベンチャーにとって、大事ですが、緊張感も必要です。なぜ、社外取締役が必要か?これも経験則が生んだ過去の教訓からきているのは明白です。

 悪魔のささやきには、やはり注意が必要です。企業として、お金のない中で美味しい話につい気がむいてしまう。これは仕方がありません。しかし、危険を察知し、方向転換する。そのためには、経験豊富な人も必要です。

 特に医薬品開発などバイオは10年、20年ものです。熟成を重ねた色合いを理解するには若い人だけでは難しいのは、バイオ業界特有かもしれません。ITのように学生起業家だけでIPOまでこぎつけるという形は期待しないほうが良いと思います。私は、バイオ業界のマネージメントは老荘青のコンビネーションだと思っています。

 特に、大学発ベンチャーでは、CEOが大学の教官ではなく、外部から招いたビジネスの専門家であるべきだと思います。これは以前から色々なところで述べていますが、仮にも人のお金を預かって会社をする以上、片手間でなく、専任のCEOが経営に当たるのは当たり前で、教授社長では失礼というものです。また、大学では一円も残らず、年度末にはお金を使い切るという利益を出すという企業のスタイルとは大きく異なり、そのような風土で育った大学教官ではCEO向きな方は少ないと思います。大学を飛び出て、CEOとして勝負に賭ける!という方は問題ありませんが、そうでなければできる限り早くパートナーとしてよい人にめぐりあうことが、ベンチャー成功の秘訣だと思います。

 時々、良いCEOに会えるコツは?という質問を受けますが、アンテナを張るという答えしか思いつきません。色々な方と出会い、一期一会の中で研究の実用化に熱意をかけていただける奇特な?方にめぐり合う。人生の醍醐味であると同時に、ばくち?を感じます。

 でも、CEOになる方を一人としてだませず?(ほれさせず)、ベンチャーキャピタルのような海千山千の達人を呼び込むことはできないでしょう。恋愛と同じでよい人がいたら、ひたすら繰り返してアタックする(でも、ストーカーになるのはやめてください!)。熱意は大事だと思います。

 それとともに、金銭的なプレゼントも重要です。私は、CEOの給料は高くて当然だと思います。経営の専門家ですので、安いはずがありません。ましてや、類似公務員の大学教授の給料より安いCEOがいるとすれば、驚きです!良いものは、高い。安かろう、悪かろうは、人財の世界では当たり前です。人を雇うのは、最大の投資ですから、慎重に見極め、これと思ったら、思い切った投資を考えるのがコツです。そして、経営を任せたら、しばらくは口を出したくても様子を見る。ここまでかいてきて、何か結婚の話をしているように勘違いしてきました。良い婿取りのハウ・ツーもののようで、恥ずかしくなってきましたので、このあたりで終わります。

 今回はアメリカにおけるVCの投資基準「Management Team」について書きました。

● P.S. 今月の言葉は、武田信玄の「人は城、人は石垣、人は堀、情けは見方、仇は敵なり」です。人が如何に大事か、ベンチャー経営に限らずあらゆる事象に共通ですね。第三期科学技術基本計画でも、人材育成が前面に出てきています。良いお嫁さん、お婿さんを見つけられるか?、人生最大のギャンブルですね(結婚ではなく、ベンチャー経営の話ですよ!)。

追伸:私どもの研究室とアンジェスMG社では産学協同研究を推進する研究者を募集しております。また、アンジェスは東京大学に先端臨床医学開発講座(寄付講座)を開設しております。こちらでは、遺伝子治療・再生医療やがんに対する新規治療法の開発を行います。東京・大阪のどちらでも大学院生や産学連携のポスドクを募集しております。ご興味のある方は、担当者の中神までご連絡ください(nakagami@cgt.med.osaka-u.ac.jp)。なお、私どもの研究室の詳細は、http://www.cgt.med.osaka-u.ac.jp/で見ることができますので、ご覧ください。
また、バイオサイトキャピタル社も、キャピタリストを募集しております(http://www.bs-capital.co.jp/)。大阪・東京でも勤務できますので、世の中の役に立つベンチャーを育てたい、あるいは、ベンチャーを経営してみたい方は、是非ご応募ください。担当者に直接(info@bs-capital.co.jp)ご連絡ください。