2月某日
応援してくれている皆さんには突然の話で申し訳ありませんが、藤井は3月末で室蘭工業大学を退職し、山口大学農学部に助教授として赴任することになりました。かつての大学ではコネに強く依存した教員人事(採用・昇任等)が主流でしたが、最近では完全なガチンコ勝負で全国に公募をかけて教員を選考する人事が増えつつあります。 私自身も他の若手同様、『独立したポジション(一般には講師以上)に一日でも早く就いて、もっと自主的に、上司の意向に影響されることなく研究を進めて行きたい』という野心を一人前に持っていました(と言うより、野心だけ一人前?)。他方、これまで皆さんに注目していただいた浄化装置の事業化もぐっと現実味を帯びてきており、大学人として環境ホルモン分解菌に関わる機会もそろそろ終わりに近づいています。 つまり、新しい研究テーマを開拓する時期にあるということです。このように、平成16年度は私の大学人生における大きな節目の年であり、自身のキャリアアップのためにも、新しい大学でのポジションを摸索してきました。その結果、山口大学農学部の助教授候補として採用が決まったわけです。
『室蘭工大の助教授に昇任して、これからも室蘭で研究をすれば良いではないか』というご意見もあるかもしれませんが、国立大学では各大学で教員の定員枠がきっちりと定められており、原則的には誰か上の人が辞めてポストが空かない限り昇任は有り得ません。これは制度上仕方のないことです。 そこで私には二つの選択肢がありました。一つ目は、いつ空くかわからない上位ポストを今後何年間も待つ、という方法。二つ目は、他大学で現在募集中のポストに応募して採用される(当然、全国から殺到する応募者との競争になる)、という方法です。 前述のとおり私は野心だけは一人前ですし、今が一番頭も体もよく働く年代であることから、一日でも早く自分の研究室を持ちたいと思い、迷わず二つ目の選択肢を選びました。また、他大学の先生方と接することで自分にないアイデアや技術に触れられるという期待もあり、これは他大学に移る場合の大きなメリットのひとつであると思います。そういうわけで、私の転任はプロ野球に喩えるとFA選手の移籍のようなものですので、何も心配される必要はありません、今後も応援していただければと思っています。
バイオトリートでの私の立場については経営陣と相談中ですが、バイオトリートの所在地、そして経営陣、室蘭市、北海道経産局、そして学長から頂戴した恩を考えると、バイオトリートは山口には持っていかずに、室蘭工大の大学発ベンチャーとして北海道に置いて行くことが最良の方法であると思っており、その方向で話が進んでいます。経営陣も人事の話を切り出した時は非常にビックリしていましたが、大学研究者としての私の将来を考えて快く了解してくれましたので、皆さんもご安心ください。
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