室蘭工業大学 応用化学科助手の藤井克彦氏が、現在
進めているベンチャー設立までの軌跡をリポートしま
す。本人自らがつづる、臨場感あふれる体験談です。

【Vol.18】

事業提携などで新たな展開


12月某日

 試運転第6クールが進行中であるが、浄化装置の状態が非常に良くて現場サイドでは喜んでいる。また、楢崎製作所の技術者も微生物取り扱いに大分習熟し、私が現場でクレームを出すことはほとんどなくなっている。平成15年春の地域新生コンソーシアム開始以来の開発であるが、思い返せば、当初の実地試験では浄化装置内の酸素濃度が安定しなかったり、汚泥が大量発生したり、と装置を動かすという最初のステップで多くの課題に直面していた。2年半経過した今ではこれらの課題はほとんど解決され、後は排水処理“事業”としての展開を待つのであるが、残念ながら装置を買ってくれる企業さんはまだ現れていない。バイオトリートは営業部を持てるほどにはまだ成長していないので当面は事業提携のような形で楢崎製作所に営業・販売等をお願いする形になるのであるが、

1月某日

 明けましておめでとうございます。旧年中は大変お世話になりました。今年もどうぞよろしくお願いします。年末年始の間も浄化装置は24時間連続動かしっぱなしであったが、障害も起こらず怖いくらい順調に稼動している。
 最近の大学ネタで『教員の呼称』についての話題がある。大学の教官ポストが教授>助教授>講師>助手というランクに分類されることは皆さんもご存知と思うが、この呼称を見直そうという動きである。具体的には、まず助教授を米国同様に“準教授”に名称変更する点、そして現行の助手については、助手の中でも自ら教育研究を行う若手教員(多分私もこれに該当)を、「助教(じょきょう)」という新設ポストに就け、大学業務の補助に徹している助手は今後も助手と呼ぶそうだ。
 ここで私が最初に思った感想→じょきょう〜??これまた随分センスの悪い呼び名を選んだもんだな(呆)。。。
 要するに、『助手というとお手伝いさんみたいな呼び方で可哀想だから助教授と助手の中間を取って“じょきょう”でどう?』なんて議論がされたのでしょう、霞ヶ関のお偉方の会議では。。。
 『大昔、助教という名称が使われた時期もあったので問題ない』とは言うけれど、そんなしょうもない呼び方をワザワザ復活させずとも“講師”に昇格させれば良いじゃない、何か支障ある?『私、室蘭工大の助教をやっております藤井です』『あ、助教授でいらっしゃいますか』『あ、いや、助教授ではないです、じょきょうです』『あ、助手をされてるんですね』『いえ、ですから、じょきょうを・・・』『????????』こんな光景が全国各地で目撃されるであろう。

開放系浄化槽.

藤井 克彦氏の略歴

◇室蘭工業大学 応用化学科 助手
◇1971年生まれ 九州大学理学部 生物学科卒業
◇奈良先端科学技術大学院 バイオサイエンス研究科博士前期課程
◇東京水産大学大学院 水産学研究科博士後期課程終了
◇専門分野:微生物工学、環境バイオテクノロジー、有用微生物の探索
 電子メール:kfu@mmm.muroran-it.ac.jp
 ホームページ:http://www.mmm.muroran-it.ac.jp/~kfu/
バックナンバーはこちらから